冷めてもやわらかな「だし巻き卵」。仕出屋の「ちょっと足りひん」の気配りが、関西のだしのうまみとともに利いていた。
熱々の焼きたては、もちろんおいしい。ただし、本領を発揮するのは冷めてから。実にしっとり、やわらかい。だしのうまみをたたえた「だし巻き卵」が、関西から西へ東へと支持を広げている。極意は「ちょっと足りひん」薄味のおいしさだった。
甘いのか、甘くないのか
作る人の数だけ、卵焼きはあるのかもしれない。
記事の後半では、新聞やテレビで活躍する東京生まれの料理研究家・渡辺あきこさんが、だし巻き卵との出会いを語ります。
一般的に甘辛の味付けで焼き色も歓迎するのが関東、だし味で卵の色そのままに仕上げるのが関西と言われてきた。とはいえ家によっても好みはさまざま。昭和初期の人気雑誌「婦女界」の付録を復刻したレシピ集で見つけた「巻焼卵(まきやきたまご)」は、卵にみりん、だし、しょうゆ、砂糖、塩とうまみ調味料も加えゴマ油で焼いていた。まるで全部入りではないか。
ごはんのおかずか、酒のつまみか。現代の外食で提供する卵焼きも、和食、すし、居酒屋など業種ごとに微妙に味付けは違ってくる。
■仕出屋の3代目は考えた…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル